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チョコレート酔い

 バレンタインと言っても、ようはただの平日な訳で……。もちろん仕事が忙しければ平日も休日も盆も正月もないわけだが。つまりはあれだけテレビやデパートで騒ぎ立てても、会社は休暇をくれるわけでもなく、いつも通り、淡々と仕事を運んでくる。
 遠目陸は疲れきってマンションのエレベータのボタンを押した。ここ数日残業続きなのだ。去年のバレンタインは休日だった。のんびりと碧と過ごしたのを覚えている。それが今年はなんだ。思わずエレベータ内に設置された時計を見る。ぎりぎり14日だ。そんな時間だ。
 碧はそわそわしながら待っているに違いない。きっと今日一日をチョコレート作りに費やして、部屋中に甘い匂いを漂わせているはずだ。何とか今日中にそれを食べることが出来るだろうか。
 実際の所、陸は甘いものが好きではない。碧が苦心して作ってくれる、甘味を抑えたお菓子類だって一口食べればもう十分だと思っている。去年のチョコレートケーキも全部食べるのにかなり苦労をした。ケーキは重い。しかし碧が目を輝かせながら作ってくれる事を考えると、食べないわけには行かない。重くてつらいイベントだ。
 部屋に帰ると、案の定碧が目をキラキラさせて飛び出してきた。
「おかえりなさーい」
 14日中に帰ってこれたのが嬉しかったらしい。ぴょこんと飛びついて頬にキスをしてきた。
「ただいま」
 残念ながら両手に荷物の為、抱き上げる事ができなかった。碧はずるずると陸の体を滑り落ちてゆき、床につま先をつけてからにこっと笑った。そのおでこにキスを仕返してやって、片手に持っていた会社の紙袋を差し出した。
「おみやげ」
「わーい」
 中につまっているのは、色とりどりのリボンのかかった箱。会社でもらって義理チョコの嵐である。陸のいる部署は女子社員がいない。そのはずなのだが、あちこちの部署の女性からチョコレートが届く。多少やり取りのある人ならばともかく、メールで名前を知っているだけの人や、全然顔も名前も知らない相手からもらう事もある。義理だ、と心に言い聞かせ、碧のためにありがたくいただいて帰ってくる。碧はこれが毎年の楽しみらしい。
 時間が遅い為、夕食はさっと食べられる丼物だった。食べ終わるとすぐに碧がキッチンからチョコレートケーキをもって来た。去年より大分小さい。陸にとってはありがたいことである。
「えっと、洋酒を効かせてみました。甘さは、控えめなんですけど……」
 碧の甘さ控えめはあてにならない。味覚そのものが違うのだから仕方がない。
 鼻を近づけなくてもぷん、とブランデーの匂いが漂ってくる。甘い物嫌い。酒好き。こんな人間にチョコレートケーキを食べさせようとすると、どうしてもこんな物しか出来上がらないのだろう。
「酔っ払わなかったか?」
 からかってやると、碧はエヘへと笑った。
「ちょっとだけ。匂いだけで酔っ払いそうになりました」 
 碧はビール一口で真っ赤になるほどアルコールに弱い。前に自分で買ってきたボンボンを食べて酔っ払っていたくらいだ。
 コーヒーを淹れてもらいケーキに取り掛かる。スポンジ部分にたっぷりと洋酒がしみこんでいる。甘味を無理やり洋酒で殺しているような気もするが、チョコレートのほろ苦さがあとからふわりと香る。これは確かに酔っ払うだろう。かなりアルコール度がきつめになっている。チョコレートを食べているというよりは、酒を飲んでいる感じに近かった。それを食べながらコーヒーを飲む。酒を飲みながらコーヒーを飲む。もう訳がわからない。こんなイベントは正直なくなってくれた方がありがたい。だが碧と暮らす以上、毎年この地獄は味わなければいけないのだろう。仕方がない。あきらめよう。これで可愛い碧の笑顔が見れるのならば。
 そう思ってやっと14日中にケーキを食べ終わった。
「ごちそう様。美味しかったよ」
 そう言って碧の頭をぐりぐりと撫で回す。碧はケーキを食べたわけでもないのに顔を真っ赤にして喜んだ。甘味のおすそ分け、と碧の唇にキスをする。アルコールの残り香をその咥内に流し込んでやる。
「んっ」
 その匂いに碧は少し顔をしかめたが、大人しくキスをされていた。しかしすぐに時計を見て、体を離した。
「あ、こんな時間。陸さん早くお風呂入ってください」
 碧は先にシャワーを浴びたらしい。明日も仕事だし、残念ながら今日はここまでとしよう。よっこらせ、とおやじくさい声を上げ立ち上がる。バスルームに行く際、後ろから碧の小さい声が聞こえた。
「あれぇ。お酒、入れすぎたかなぁ」
 
 脱衣所で服を脱ぐと少し足元がふらついた。
 碧の言うとおり、アルコールの量が多かったかもしれない。度数の高いアルコールなどは時間をかけて飲む物だ。それを、とにかく今日中に何とかしようと大急ぎでかきこんだのがよくなかったか。
 いや。
 陸は一人で首を横に振る。疲れているだけだ。あのくらいの量で酔うはずはない。どれほどはいっているのかは知らないが、グラス一杯入っているわけではないはずだ。休日などにはのんびりしながら、ウィスキーを二本開けてしまうこともある陸だ。酒は強い。ここの所残業続きだったから、疲れがたまっているのだろう。週末まで何とか持たせよう。そして週末は碧とゆっくりベッドの中で過ごそう。  とにかく今日は、さっさと風呂に入って眠ってしまえばいい。二日酔いをするほどの量でもない。
 陸はざっと体を流して風呂に浸かった。アルコールで熱を持っていた体がさらに熱くなる。ぼんやりと湯気を眺めた。トロトロとした眠気が押し寄せてきた。良くないな。こんな所で寝たら風邪を引く。
 浴槽の中のお湯で顔をすすぐ。
 早めに上がろう。そして早く寝よう。明日も早いのだから。
 そう思った。
 はずだった。

「陸さん、陸さんってばっ」
 碧の声で目が覚めた。
 碧がパジャマ姿のまま湯船に浸っている。そして、必死になって陸にしがみついていた。当然パジャマも髪もびしょ濡れで、肌にぴったりと張り付いている。
「ん、あ?」
 一瞬、碧が何をしているのかさっぱりわからなかった。何で服を着たまま風呂に入っているのだろう。滑って湯船に落ちたのかと本気で思った。
「陸さん起きました? 良かった」 
 目に涙を浮かべながら陸を見つめている碧を見て、陸はやっと理解した。顎の先まで湯に浸っていた自分の体を起こす。
「すまん、寝てたのか」
 汗だくになっていた顔を手でぬぐう。
「はい。なかなか出てこないので、様子見に来たら」
 碧はようやくほっとした顔をして、陸の顔に両手をあてた。
 湯船に頭まで浸りそうになっていた陸を、碧が必死で引っ張りあげてくれたらしい。
 酔っ払って風呂に入って、そのまま湯船で溺死。よくある事故らしいが、よくあるからと言ってやりたいはずがない。
「今、何時だ?」
「そろそろ一時です」
 そんなに長い時間寝ていたわけではないようだ。そもそも陸は忙しいときなどは早風呂だ。湯船に浸かっても十五分程度で出てきてしまう。三十分も出てこなければ、碧が心配して様子を見に来るのも当然か。
 さっきまでの眠気はきれいに吹き飛んで、頭はクリアになっていた。やはり疲れとアルコールのダブルパンチはきつかったようだ。ありがたくない話だが、いつまでも若くないのかもしれない。碧がいつまでも子供のようなので、時間の流れに気付かないが、確実に時間は自分の体を通り過ぎていっているようだ。
 碧は陸の体にまたがるようにぐったりと座っていた。いくら力があるとはいえ、この小さな体で意識を失った陸の体を支えるのは大変だっだろう。
「ありがとうな、碧」
 額に張り付いた髪をかきあげてやりながら礼を言う。情けない話だが本当に死ぬ所だったかもしれない。碧が笑う。
「よかったです」
 陸がはっきりしているのがわかったようで、そのままぎゅっと抱きついてきた。薄いグレーの濡れたパジャマからは肌が透けて見える。このままでは風邪を引かせてしまう。早く風呂からあげて着替えさせてやらなければ。碧だって、明日は陸にあわせて起きるのだから早いはずだ。
 頭ではわかっていながらも、安心した為か陸から離れない碧を見ていると、どうしても無理に引き剥がせない。それどころか、その背中に手を回して抱きしめる。視線を背中から落とすと、湯の中でゆらゆらとパジャマのズボンの布がゆれて、下着が透けて見えていた。男の下着姿に興奮するのもいやなのだが、一瞬どきりとした。
 ちらりと碧の顔を見ると、湯に浸っているせいかホワンとしている。その頬にチュッとキスをした。それで碧は我に返ったらしい。
「あ、もう出なきゃ。うん。早く上がって早く寝ましょう」
 慌てて体を離そうとするのを引き寄せる。
「もう少しだけ」
 目が冴えている。碧は可愛い。この二つだけで十分だ。
 それに気付いて逃げ出すように風呂から上がろうとする碧をしっかりと押さえつけた。片手で背中を抱いて、もう片方の手で尻を揉みしだく。膝を立てて、碧の足の付け根の辺りにきつく押し付けてやると声があがった。
「ちょっ、と、痛い。何してるんですかぁ。もう寝ましょうよぉ」
 その声を無視して、軽くリズムをつけるように膝を動かす。やがて濡れた髪の揺れが少し大きくなった。碧が自分から腰を擦り付けるようにして動いている。もう背中を押さえつけいてた手はいらない。碧の頬がピンク色に染まって、甘い声が唇からこぼれだした。よしよしとほくそ笑む。
 少し体を離して碧を観察した。パジャマから薄いピンク色をした乳首が透けて見える。空いた手でその片方をつまんでやった。もう片方には唇を寄せる。木綿の生地に浸み込んだ湯を、じゅっ、と啜る。碧の体が電気を入れたみたいにピクッと反応した。今度はたっぷりと唾液を浸み込ませてまた啜る。指でつまんでいるほうはあまり強くしないように、優しく布をなぞるように撫でる。皮膚の薄い、敏感な部分は布越しの感覚も敏感に捉えているようだ。先端が強い張りを持って膨らんできて、その周囲の色のついている部分もふっくらとしてきた。それを確認してから、軽く乳首に歯を立てる。
「んっ」
 今まで優しく扱われていたせいで、急な刺激に碧が体をのけぞらす。強くしたり弱くしたり、抑揚をつけながら甘噛みを続ける。その度に碧は鼻に掛かった声を上げて身を震わせた。
 たっぷりと胸を堪能すると、今度は後ろに手を伸ばす。碧が体をねじって逃げようとした。
「陸さん、もうやめましょうよ。せめて、ベッドで……」
「だめ。碧のその恰好が気に入った。それに、ベッドでするより楽しいだろ?」
 楽しんでいるのは自分一人ではないはずだ。碧の声が、体温が、体に流れている血液が、全てが甘い色に染め上げられていく。それがよくわかる。
 陸はもう一度碧を抱きしめる。……振りをしながら碧の尻を触った。ぎゅっと体を密着させれば、碧がどうなっているのかはわかる。それを確かめながらパジャマの上から両手でしっかりと押さえ込む。あまり肉付きのよくない尻に指を食い込ませる。痛がらない程度に力を入れて揉んでやった。中央の割れ目に指を当てて尾てい骨から窪みまでを上下させる。パジャマが湯の中で碧の腿に絡んでくすぐっている。窪みの所で指先に力を入れてやると、布が少しそこに押し込まれた。
「やぁ、ん」
 痛かったのか、碧が声を上げる。腰を振って何とかその布を取り出そうとするが上手くいかず、結局自分の手で引っ張り出した。特に何の入浴剤も入っていない湯には滑り気がないから、柔らかい粘膜には痛かったのだろう。
「ごめんごめん」
 半べそをかいている碧に謝って頭を撫でてやる。
 もう一度腰を掴んで碧をパスタブの中で立たせた。碧はバスタブから出してもらえるのかと思ったようだが、腰をしっかり掴んで離さない陸を見て唇をアヒルのようにした。
「転ばないようにな」
 一応注意をする。バスタブの中は滑りやすい。陸の体を挟んでいるから当然碧の足は風呂の端の方にある。端のほうは丸く加工されているからさらに足を取られやすい。風呂場で溺死しそうになったあとなので、普段以上に気を使う。滑って頭でも打ったら、これ以上碧の頭が……。いや、皆まで言うまい。
 碧がちゃんと立っているのを確認してから、陸は反省の色を見せて碧のパジャマのズボンを引きずり降ろした。
「えっ」
 急だったのに驚いたらしい碧が悲鳴を上げる。白い下着はぴったりと張り付いて、その中身を透かせていた。風呂の中で立たせているせいで、それはちょうど陸の顔の真ん前だった。
「わっ、だっ、ダメですっ」
 碧が慌ててパジャマの上着の裾を下に引っ張って隠そうとした。その中身は碧が真っ赤になって恥ずかしがるほどの状態になっていた。陸は笑ってその手を押さえ込んだ。
「隠したらだめだろ。ほら、ちゃんと見えるように持ち上げて」
 裾を握ったままの手をそのまま上に上げる。当然パジャマは持ち上げられて下着が丸見えになった。
「いい子だから、そのままな」
 そう言って陸は下着の中で形を露わにしている碧の先端に口付けた。わずかにぬめりがあった。胸にしたのと同じように布越しに唇で愛撫をする。さすがに歯は立てないが、舌先で刺激して唇を使って何度も啜る。風呂場なので水音がやけに響いた。下着に染みた湯の味に、碧の体液の味の割り合いが増えていく。碧が暴れなくなったので手をまた後ろに回す。下着を足の部分から中央よりに無理やり引っ張り、半分尻をむき出しにさせる。残念ながら陸には見えないが、つるんとしたさわり心地のいい碧の尻を撫で回す。もう片方も同じようにして、下着を割れ目に寄せてしまう。唇を寄せている前の部分の布までが引っ張られるのがわかった。
 敏感になっているそこに、滑り気なく湿った布を擦られるのはさぞつらいだろう。碧はパジャマの上着をぎゅっと掴んだまま耐えていた。が、やがて耐え切れなくなった碧がせつなそうに腰を前に突き出した。
「陸さん……、もう、何か……」
「ん?」
「つらい、よぅ。痛いし、ジンジンするし。もう、ちゃんと、口でしてよぉ」
 べそをかきながら碧が言う。
「舐めて。いっぱい、お口の中でぬるぬるして」
 言葉を続けているうちにだんだん碧の目がトロンとしてきた。
「チュウって吸って。それから、えっと、ベロで、先っぽいじめて」
 指をくわえて碧は言葉を吐き出し続ける。
 可愛くてたまらない。抱きしめて、このまま突き入れてしまいたい衝動に駆られるくらいだ。それをぐっと堪える。せめて碧のリクエストに答えてやろう。
 下着に手をやってゆっくりと下ろす。下着は碧の硬くなった先端に少し引っかかった。それを無理に下ろしてやると、碧のものは一度頭をさげ、それから勢いよく跳ね上がった。可愛らしい碧の中心。濃いピンク色に染まってひくひくと蠢いている。よく息子などと表現するが、本当に小さい碧の分身のようで可愛い。どうせ二人の間には子供など出来やしないのだから、せめてこの息子を可愛がってあげよう。
 碧はいじめたくなるのだが、こちらの碧は優しく優しく扱う。唇で挟み込んで根元から何度も扱く。舌で先の割れ目をこじ開けるように擦る。ピチャピチャと水音が鳴っているのは、バスタブの中のお湯かもしれない。
「んっ、んんっ」
 その度に碧は喉の奥で声を上げて体を震わせる。唇の摩擦に荒く息をつく。しばらく続けていると、びくっ、と白い腹が動いた。
「あ、だめ出ちゃう」
 上ずった声が頭上から聞こえてくるのと同時に、陸の顔に白い物がかかった。ちょうど先端まで唇を戻していた時だったので、碧が体を揺らした拍子に口から外れたのだ。碧はそれに気付いていないようで、ビクンビクンと体を震わせながら最後の一滴までを搾り出していた。
 白くて温かい液体を顔にうけながら、陸は至近距離で碧がいくところを見ていた。先端の割れ目を広げて、とろみのついた濃厚な液体が飛び出してくる様をまじまじと眺めた。
「はぁ、ん」
 碧が小さな声を乗せて息を吐き出し、まだ胸を上下させながら陸を見下ろした。何か文句を言うつもりだったのだろうか。開きかけた口が大きくOの字を作り、それから慌ててしゃがんで陸の顔を拭い始めた。
「ごめんなさいっ。俺っ、顔に」
「いいって」
 陸は気にせずバスタブの中の湯で顔を洗い流す。気になるわけではないが、ダラダラとこぼれてきて目の中に入りそうになるのだ。碧は泣き出しそうな顔をして必死に謝る。陸にしょっちゅうやられていると言うのに、自分がやってしまうと謝るらしい。そんなに罪悪感のするものだろうか。むしろ陸のほうが申し訳ない気分になってしまった。
「いや、大丈夫だから。目にも入ってないし」
 そう言って碧の体に触れる。可哀想に、碧の体はすっかり冷えてしまっていた。いくら半分風呂に浸かっているからといって、濡れたパジャマをずっときているのだから当然だろう。風邪を引かせるわけにはいかないので、体を風呂に引きずり込んだ。陸はさっきからずっとバスタブの中に座っているが、碧はほとんど湯に浸っていない。これでは寒いだろう。体を仰向けに寝るように湯に浸して、その上に碧を抱き寄せた。少し背中がはみ出るが、そこには陸がお湯をかけてやる。
「ごめんな、寒いだろ」
 碧はぴったりと体を寄せて、
「ううん、温かいです」
 と言ってから、ごそごそ身じろぎをした。やはり寒いだろうか。追い炊きをしようかと考えた時、碧がまだパジャマのズボンを半分穿いたままでいることに気付いた。太腿のあたりまで下ろされている為あまり足が開かず、陸の体を上手く跨ぐ事ができない。碧はそれを脱いでしまおうか、それとも穿きなおそうか考えているようだ。湯の中で穿きなおしても意味がないのだが。
 ズボンが陸の体に引っかかっている為体が沈まず、つるんとした剥きたてのゆで卵のような尻は湯から浮いてしまっている。必然的に陸の両手はそこに行く。
「えっ、ちょっと、陸さんってばっ」
 碧が慌ててズボンをあげようとしたが、お湯の中なので上手くいかない。陸はそれを無視して指を窪みに当てる。中指を少し埋め込む。碧は観念したのか、ぎゅっと陸に抱きついてきた。
「少し、温かくなってきたか?」
 もう片方の手で相変わらず体にお湯をかけながら聞くと、碧は黙ったまま頷いた。碧の中の指を進めて根元まで突き刺す。それをゆっくりと引き抜く。何度か繰り返していると、碧の体がやけに震えるのに気付いた。
「痛いのか?」
 碧は無言のまま首をブンブン横に振った。しかし、歯を噛み締めて眉間にしわを寄せているのを見ると、気持ちよくはなさそうだ。
「やっぱり水の中だと痛いか」
 指を抜く。確かに、いつもの滑らかさはなかった。かといって風呂から上がってしまうのも惜しい。碧のびしょ濡れのパジャマ姿が結構気に入っているのだ。
 バスタブから手を伸ばして、床に置かれたいくつかの容器を引き寄せる。陸のシャンプーは強いメントールの匂いがする。これでは痛いだろうし、あとで陸自身もひどい目に会いそうな気がする。碧のシャンプーは、正直よくわからない。ドラックストアーでそのときに安い物を買ってくるらしい。CMで見たことのあるものから、メーカーすら知らない物まで様々だ。今はグリーンの容器に入ったハーブ系のもらしい。いまいち気がすすまない。もう一つ。ピンク色をしたボディーシャンプー。もらい物なのか碧が買ってくるのか知らないが、ひどく甘い香りのするボディーシャンプーだ。碧は気に入って使っているようなので、自分で買っているのかもしれない。陸は。こんな甘い匂いをさせて会社に行くわけにはいかないので、ただの白い固形石鹸を使っている。たまにこの石鹸も、透明でカラフルでフルーツの匂いのするものに変わっていたりすることがあるが、そのときはあきらめてさっさと使い切るようにしている。こういった買い物は碧の担当なので口は挟まない主義だ。
 陸はボディーシャンプーの容器を手に取った。適当に手のひらに出してそれで碧の尻を撫で回す。いつも風呂上りの碧の体からする甘い匂い。湯船にも混じってしまうが、まぁいいだろう。ぬるぬるになった指をゆっくりと碧に差し入れる。
「んっ、あ」
 ぴくっと体を震わせて碧が鳴いた。頬に赤みが戻る。いつもより滑りやすい穴の中を、ゆっくりとかき混ぜるように指を進める。十分に柔らかくなってきた事を確認して指を二本に増やした。碧は声を上げて陸にしがみついた。時々泡立つほど激しく、そうかと思うと指先で中をえぐるように、じっくりと時間をかけて碧の中をかき混ぜる。
「はぁん、あ。それ気持ちいい、すごくいいの」
 碧がちゃぷちゃぷと湯を揺らしながら体を動かす。陸の顔にも湯がかかった。碧は蕩けた顔で陸を見ると、唇を合わせてきた。紅い舌が入り込んでくる。指の動きはそのままに、陸は柔らかい舌をたっぷりと吸った。碧の腰の動きがますます激しくなって、バスタブから波があふれ出す。ついに碧が泣き声をあげた。
「入れてぇ、全部。碧の中に」
 そう。その声が聞きたい。
 甘くて、恥ずかしくて、自分を自制する意思が熔けてしまった声。いつもの生真面目ないい子の皮をずるりと脱ぎ捨ててしまった声。中につまっているのは、こんなにもいやらしくて、湯気が立ちそうに蕩けている。
「もっと、ぐりぐりしてよぉ」
「ん。碧は可愛い」
 唇を合わせるが、それより欲しい物があるらしい碧は激しく腰をゆすった。
 さて、どうしようか。可愛い碧を一番よく見えるようにするには、どういう体制をしようか。
 自分の体の上で碧の体をくるりと引っくり返す。碧の背中が自分の胸に当たる。碧のズボンはまだ脱ぎきれていない。だから足は開かないが、後ろの場合あまり足を開かせる必要はない。いつも開かせているのは、ただ単に陸の趣味だ。
 碧の尻に自分の物を押し当ててやって、その熱量をつたえる。
 碧は半開きの唇をわななかせてそれを受け取った。
 少し碧の腰を持ち上げて、位置にあてがう。ボディーシャンプーで滑っているその中は、それだけでずるりと一気に陸を受け入れた。
「おっ」
 思わず陸が息をつく。勢いがつきすぎた。碧も悲鳴をあげた。両膝を閉じて、体育座りをするような姿勢で、陸の上で丸くなっている。
「はっ、んあ」
 それでもしばらくそうしていると、我慢できなくなったのか自分からゆっくりと腰を動かしだした。体を前後にゆすって、たっぷりと体の中の感覚を味わうように動く。陸も両手で碧の腿を掴んで上下にゆすった。お湯が激しく波立った。大量に顔に跳ねたが気にならなかった。額から流れ落ちるのが湯なのか汗なのかわからなかった。
 何度も腰を突き入れていると、だんだん碧の中のボディーシャンプーが湯に流れ出してしまって、きしんできた。まず入り口のあたりがきつい。碧の息も苦しそうになっていた。陸はもう一度ボディーシャンプーの瓶を手に取ったが、碧の尻は今度は完全にお湯の中だ。いくら大分こぼれているとはいえ、こんなバスタブの中では一本入れきっても足りないだろう。陸は湯の中に手を伸ばして、風呂の栓を抜いた。もう湯を抜いてしまえばいい。どうせ半分くらいになってしまっているのだから。少し体は冷えるかもしれないが、今はひどく熱くて汗が止まらない。
 碧の腰の辺りまでお湯が減ってきたので、ボディーシャンプーを入り口に塗りつける。少しずつでもその中はだんだんぬめっていき、やがて碧も甘い息をつき始めた。
 すっかりお湯の抜かれたバスタブの中で、碧はぴったりと体にパジャマを張り付かせて、ズボンと下着もまだ膝の辺りに引っ掛けたまま体を震わせていた。陸は碧の小さな体を持ち上げて、何度も自分の腰の上に叩きつけるように落とした。その度に碧は高い悲鳴をあげて、びくりと腰を締め付ける。容器に残ったボディーシャンプーを碧の胸の上で逆さにしてやって、中身を掛けまわした。胸をつまんで濡れたパジャマをこすり付けるように泡立てる。胸全体を撫で回して、パジャマを洗うように泡だらけにした。そんな斬新な触覚が気持ちよかったのか、碧はいつもより高い声を上げた。碧の中心はさっきいったばかりなのにもう立ち上がっている。陸は碧を前に抱いて、横顔と胸と紅く立ち上がったそれを見ていた。
「うん、碧は可愛い」
 しみじみと呟いてさらに激しく腰を突きたてる。そろそろ、限界か。
「碧も自分でしろよ。ちゃんと手使って」
 声をかけてやると、碧は素直に真っ赤になりながら自分の物を扱き始めた。
「それがいいの? 気持ちいい?」
「うん、気持ちいい。お尻も、こっちも、一緒にするの、すごく気持ちいいの」
 碧が興奮すればするほど締め付けがきつくなってくる。目を回しそうなくらいだった。
「ふぁっ、ああんっ。ダメ、もういっちゃう、ダメお尻が、熱くてっ、奥のほうがっ。ジンジンしてっ出ちゃうぅっ、みるくでちゃうよぉっ」
 可愛い小さな口から猥褻な言葉を羅列させて碧が大きく体を震わせた。二度目だという事を感じさせないくらいの勢いで、碧の中心から精液が飛ぶ。それを見て陸も全身が粟立つのを感じた。まだ精を放っている碧の下っ腹をきつく押さえつけ、碧の中で放つ。
 碧が何か言った気がしたが、よく聞き取れなかった。


 翌日。
 当然のように陸は遅刻をした。
 
 


正直に言おう。着エロが好きだ。

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